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【柔整コラム】国家試験に落ちた卒業生=既卒不合格者の末路

柔道整復師の国家試験は全員が合格するわけではありません。柔整養成学校を卒業したのに国家試験で不合格となり、柔整免許を持たない卒業生はどうなるのでしょうか?以下、客観的なデータを引用しつつも、柔整業界を見切った私のごく個人的な意見となります。

新卒一発合格者の私から見た不合格者

不合格者の末路に興味無し

私は柔整専門学校3年生(卒業見込)で国試に一発合格しました。当時の新卒合格率は90%超で同級生もほぼ全員一発合格が当たり前でした。
成績不良の同級生は数人いて案の定不合格になり、元々クラスの中でも浮いていて私とはほとんど交流も無く、卒後は消息不明となりました。
専門学校3年生の夏休み後から教室の後ろのほうの席で聴講している人を見かけるようになり、前年に国試不合格だった浪人生ということを後から知りました。この浪人聴講生とも交流はほとんどありませんでした。

私が国試不合格者と直接関わったのはこの成績不良の同級生既卒国試浪人生のみで、彼らが不合格になった後にどのような生活や仕事をしていたのか全く知りません。当時の既卒合格率も知りませんし興味ありませんでした。
国試不合格者のことには全然興味が無く、私を含め新卒合格者は学生時代は自分の勉強のこと、卒業後は仕事や職場のことで精一杯でした。

不合格者の異常な多さに興味有り

柔整養成学校の乱立と共に国試受験生UP↑・国試合格率DOWN↓となり、不合格者も激増しました。

ここで柔道整復師国家試験の不合格者数を計算してみましょう。
直近5年間のデータです。

新卒の国試不合格者数

2025年(第33回) 769人(新卒受験者3188名 – 合格2419名)
2024年(第32回) 508人(新卒受験者3183名 – 合格2675名)
2023年(第31回) 1109人(新卒受験者3201名 – 合格2092名)
2022年(第30回) 594人(新卒受験者3125名 – 合格2531名)
2021年(第29回) 456人(新卒受験者3165名 – 合格2709名)

既卒の国試不合格者数

2025年(第33回) 1137人(既卒受験者1325名 – 合格188名)
2024年(第32回) 1182人(既卒受験者1844名 – 合格662名)
2023年(第31回) 1168人(既卒受験者1320名 – 合格152名)
2022年(第30回) 1025人(既卒受験者1234名 – 合格209名)
2021年(第29回) 1094人(既卒受験者1396名 – 合格302名)

新卒は毎年約500名以上の不合格者。特に合格率が低かった2023年(第31回)はちょうど国試漏えい事件発覚の翌年で、国試問題の漏えいが阻止されたこの年度はなぜか不合格者が激増しました。
既卒では毎年1000人以上の不合格者が出ています。

柔整養成学校は都合のいい数字しか強調しませんから、こうして不合格数を並べてみると異常な多さであることに気付きます。
この不合格者はどのような末路を辿っているのでしょうか?

“新卒”不合格者に対する評価

新卒で国試不合格となった場合の評価を専門学校卒大学卒に分けて考察してみます。

専門学校卒の不合格者

「運転免許は持っていません。でも自動車教習所は卒業しました。」という応募者が運転免許必須の職場で採用されるでしょうか?
これと同じように「柔道整復師免許は持ってません。でも柔整専門学校は卒業しました。」という卒業生が就職で有利になるとは到底考えられません。

免許取得見込みだったのに結局無免許ではむしろマイナス評価になるかもしれません。
柔整免許取得見込みで就職内定したものの、3月に国試不合格となり4月からの就職取り消しになった事例は知っています。

大卒が当たり前の時代でFラン大卒生が就職に苦労するくらいなのに、柔整免許が取れなかった柔整専門学校卒業生が順調に就職先を見つけられるでしょうか。

「柔整免許不要の職場で働きながら1年後の国試再受験を目指す!」という姿が一部界隈で美化されているようですが、雇う側の立場から見ればそれは単なる専門学校卒(資格免許無し)の新人であり、仕事を覚える必要があるのに試験勉強のために残業をさせない等の配慮もしなくてはならず、しかも1年後に国試合格すれば退職・転職するかもしれません。

柔道整復師免許の無い柔整専門学校卒業生が新卒就職活動で雇用者側から高い評価をされるのか疑問です。

大卒の不合格者

大学の柔整学科を卒業したのに国試不合格となり柔道整復師免許を持っていない新卒、という立場は専門学校卒とほぼ同じです。しかし決定的な違いは最終学歴です。

「柔道整復師免許は持ってません。でも最終学歴は四大卒です。」という卒業生は、柔道整復師免許の有無にこだわらない就職先であれば他学部の四大新卒と同じ対応をされる場合があります。

A. 柔整免許持ってないけど四年制大学卒(医療系学部)です
B. 柔整免許持ってないけど専門学校卒(柔道整復師学科)です

どちらのほうが有利でしょうか。
大卒は専門学校卒より就職に有利なる場合があります。
就活はそんなに甘くありませんが、大卒以上採用の職場が多いのに柔整専門学校卒+柔整免許無しではもはやエントリーすら出来ません。

たとえば、大学教育学部を卒業したのに教員免許を持っていないゼロ免課程の四大新卒生は、(ゼロ面課程そのものがかなり減ってはいるものの)数十年前から一定の評価と理解を得られていて他学部の四大卒と同じように新卒カードも有利に使えています。

大卒であれば学部や専攻はほとんど問わないような中小企業や地方公務員に就職した柔整免許無しの柔整学科大卒生の事例は何人か知っていて、総じて柔道整復師として働くよりも安定した立場に就いています。

大卒から柔整専門学校に入学した方々も、柔整業界以外で働くことになれば大卒というだけで就職に有利となります。

“既卒”再受験不合格者に対する評価

新卒で国試不合格となり、既卒としても不合格になった場合の評価を考察してみます。

不合格を繰り返す→評価も下がり続ける

新卒で不合格となればそのまま既卒となり、その国試合格率は10~30%程度です(厚生労働省発表の統計による)。
つまり既卒生の70~90%は再受験してもま不合格になっています。

私自身も学生時代の受験や社会人になってから受けた資格・免許の試験で不合格だったことは何度もあり、新卒一回目の柔整国試で不合格になってしまった受験生のお気持ちは理解出来ます。

それでも、年1回しか受験出来ない国試が不合格になれば、無免許卒業生としてキャリアの空白期間が丸々1年間延びるだけでメリットはありません。

多浪不合格者は人生設計を考え直すべき次元

1浪2浪ならまだしも、一般的な知能であれば専門学校3年間の教育課程で合格が狙えるのに、卒後3年経ってもまだ国試に落ちている多浪受験生はもはや柔道整復師の免許取得に適性や能力が足りないか、受験生本人にやる気がないだけとしか思えません

特に、国試問題漏えい事件があった年度に既卒聴講生として柔整学科イカサマ教員から漏えい試験問題を事前に教えられ、絶対合格出来る高下駄を履かせてもらって有利過ぎるイカサマ受験をしたにもかかわらず不合格になった既卒浪人生がいるようですが、もはやどうして不合格になるのか理解出来ません。

同じ18歳の高校生がそれぞれ医師柔道整復師の道を目指したとして、多浪受験生がいかに効率の悪い人生を歩んでいるのか比較してみましょう。

 例
・18歳で大学医学部に入学→24歳新卒で医師国試合格→研修医(計5年)→専門医として活躍
・18歳で柔整専門学校に入学→21歳新卒で不合格→バイトと勉強を続けながら何年も不合格無免許

同じ人間なのにこれだけ差がつきます。
医師国家試験よりも著しく格下で簡単な柔道整復師の国家試験ごときに5年も10年も不合格であれば、潔く見切りをつけてご自身の適正や才能に合う他の業界を目指すほうが効率的かと思われます。

統計上で私が確認出来た最長の国試浪人生は、2009年に廃校になった関西圏の柔整専門学校卒業生の1人が、2025年(第33回)国試に既卒受験生として再受験して不合格となっています。
2009年卒業→2025年再受験、16年も経ってまだ不合格なのです。
21歳で卒業したとして37歳にもなってまだ不合格のまま柔整免許取得の夢を追っているのであれば人生設計として破綻しているとしか思えません。

既卒不合格者に柔整業界での適正はあるのか

新卒でも既卒でも国試に合格すれば同じ柔道整復師免許保持者となります。立場は同等でも多浪受験生だった柔道整復師には職業としての適性はあるのでしょうか?

可能性には限りがある

いい歳した大人(特に柔整養成学校関係者)が「君たちの可能性は無限大!」とピュアな若者に対して洗脳まがいの言葉を畳みかける姿を目にしますが、それは大嘘です。人間の可能性には限りがあります。

私自身、毎日自炊で料理をしてもプロの料理人の足元にも及ばないどころか町の食堂でお客様から料金を取れるほどの料理も作れません。
学生時代は人並み以上のスポーツをして現在も筋トレをしていますが、プロスポーツ選手の足元にも及ばないどころか弱小スポーツクラブのトレーナーにもなれません。
ただ、柔道整復師の国家試験に3年課程で合格出来る程度の小さな適性があっただけです。

自分には無限の可能性があると洗脳され、新卒不合格後も無免許バイトで働きつつ猛勉強したつもりの既卒受験生が何度も不合格となり、SNS等で「こんなに苦労したのに」「試験問題が悪かった」「コロナのせいだ」「柔整師を減らそうとする陰謀だ」等の情けない泣き言コメントを残している姿を想像すると本当にいたたまれなくなります。

柔整国試には合格出来ずとも、柔整以外の他業界や他分野に目を向けていただき、もっと冷静にご自身の適性や才能を見つけて人生の方向転換(柔整業界脱出)もお考えいただきたいと思います。

新卒一発合格者に適性があるとは限らない

最初に書いた通り、私は学校の授業と過去問を繰り返しただけで新卒一発合格で柔道整復師免許を取りました。国試予備校も通いませんでした(そもそも予備校の存在も知りませんでした)。卒業と同時に柔整業界に就職し働き続けました。
それでも柔整業界には馴染めず、一時期は無職のまま精神科に通院するほど心を病み、生活費のため柔整業界以外の仕事を始めることになりました。その副業は柔整業界専業で働いていた時代の最高収入を上回ってしまい、もはや副業ではなく本業となりました。

私には柔道整復師としての適正は全く足りていませんでしたが、運よく他業界や他分野での適性を見出すことが出来ました。私と同様に新卒一発合格して開業したり教員になったりした元同級生も柔整業界を去り、他業界で活躍している元柔整業界人も大勢います。狭くて息苦しい柔整業界の外に出るだけで広大な世界が広がっています。
柔整国試に合格出来るだけの適性が無くても悲観する必要はありません。

そもそも柔道整復師業界が一般社会に適していない

多浪不合格者が柔整業界で活躍出来る可能性はあるのか?という以前に、そもそも柔道整復師の可能性なんてもっと限られていて今後は確実に縮小していきます。

この件については別の投稿でまとめてみる予定です。

まとめ

新卒で国試不合格になるのは絶対的に不利
何度も不合格を繰り返す浪人生は人生設計そのものを考え直す次元に達している
新卒一発合格者のほうが柔整業界に向いているとは限らない

そもそも柔道整復師の可能性自体がもっと限られている

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