SHINE柔のコラム柔整免許・国家試験

【柔整コラム】「昔の柔整国家試験は簡単だった。ずるい。」と逃げる国試不合格者について

「【柔整コラム】国家試験に落ちた卒業生=既卒不合格者の末路」で少し触れた、

「柔整国家試験が年々難しくなり、簡単だった昔の国試に受かっただけの合格者はずるい」

という論調について私の個人的な意見を述べてみます。

医療系免許試験は難化して当たり前

結論としてはこの一言のみです。

医療系免許試験は年々難化して当たり前

柔道整復師国試の難化は数十年前から続いている

私が柔整専門学校の学生だった頃、柔道整復師の教員は全員が知事免許時代に免許を取っていました。
つまり、柔整養成学校に2年しか通わず試験も簡単だった柔道整復師教員から授業を受け、学生の私は3年間学校に通い難化した国家試験を受験しました。

2年制→3年制に変わり単純に育成課程が1年間分も増え、知事免許→国家試験に昇格したことで試験問題も過去問と比べて難しくなっていました。それでも教員に対してずるいと思ったことは一度もありません。

医学・医療の進歩に伴って必要な知識や技術が増えるのであれば当然という認識です。

他の医療系免許試験も難化している

難化している医療系免許試験は柔道整復師だけではありません。
柔整養成学校が2年制→3年制に履修課程が増えたように、他の医療系学部/学科も年単位で課程が増えています。

医学部(医師) 原則5年制→6年制
歯学部
(歯科医師) 原則4年制→6年制
薬学部
(薬剤師) 4年制→6年制

国家試験の内容も難化しただけではなく、医療の進歩や時代の変化に合わせて試験の出題傾向も変わり、今までの試験対策だけでは通用しない部分が毎年増えています。Ns、PT、OT、ST、みんな同じです。
医療系免許なのに未だに嘉納治五郎やら精力善用自他共栄やら、医療に全く関係無い設問がある柔道整復師国試のほうが進歩が足りていない気がします。 

これも医学・医療の進歩に伴って必要な知識や技術が増えるのであれば当然という認識です。

現代の国試受験生のほうが楽になったと思えること

逆に、昔の国家試験を受験した私から見ると現代の国試受験生のほうが楽になったと思えることがあります。

そもそも柔整学校の入学が超簡単

柔道整復師国試に合格するためにはまず最初に柔整養成学校に入学しなくてはなりません。その入学試験が何年も前からほぼ無試験フリーパス状態になっているほど超簡単です。

私が柔整専門学校の入学試験を受けたときは1年に1回しか実施されませんでした。
倍率は10倍程度(受験生10人のうち約1人合格)でした。
それでも所詮は専門学校ですから大学受験よりずっと簡単でした。

私は並行して大学受験のために旧センター試験(現在の大学入試共通テスト)と二次試験の勉強もしていたおかげで柔整専門学校はほぼ苦労も対策もせず合格しましたが、スポーツ一辺倒の高校生活から柔整学校を目指した同級生はそれなりに苦労したようでした。

柔整学校バブルで学校が激増したことと、柔道整復師の将来性低下と人気低迷により定員割れの学校が続出しました。
年1回だけだった入学試験は2回3回と増え続け、AO入試・学校推薦入試・指定校推薦入試・親族推薦入試・同窓生推薦入試・社会人入試と入学方法も増え続けました。
スピード入試と称してエントリー料金さえ払えば面接と書類審査のみで当日中に合否判定が出る学校もあるようです(たいていの場合そのまま合格)。
入試の他にもオープンキャンパスと称して入学希望学生囲い込みイベントを何度も実施し、入試で優遇・交通費支給・ランチ提供・プリペイドカードプレゼント・テーマパークチケットプレゼントと至れり尽くせりです。「リボ払い申し込めばポイント贈呈!」キャンペーンしてるクレカ会社のようです。

新学期が始まっているはずの4月に入ってもまだ新入生の募集を続け、どうやって規定の履修課程を消化させているのか怪しい学校もありました。

とっくに柔整バブルが終わっていることを気付けていない柔整学校教員が、新入生獲得のため哀れなほど苦労しているのに慢性的な定員割れです。
私が現代の高校3年生であれば何の苦労もせず受験勉強無しで柔整養成学校に入学出来るでしょう。

それでも「今の柔整養成学校は入試が超簡単になってうらやましい!ずるい!」とは全然思いません。
むしろ柔整養成学校の節操のない新入生獲得競争に関わらずに済んでよかったとさえ思えます。

事前に試験問題が確実に漏えいしていた

一部の学校に限りますが漏えいした国家試験情報を学校教員が断りもせず受け取り、それを学生に教えて国試受験対策に利用していました
犯行当事者だった元業界幹部がその事実を公判で認めて有罪判決が確定しています。関わった一部学校教員は退職逃亡して何の罪にも問われませんでした。

その年度の国試は漏えいした問題が出題されていたことが判明したのに、再試験無し・採点調整無し・受験者はそのまま合格扱いとなり柔整免許を取得した受験者がいます。もはや政府黙認のカンニング国試です。これ以上の楽な国試は無いでしょう。

それでも「今の柔整養成学校は漏えいした国試問題を事前に教えてくれてうらやましい!ずるい!」とは全然思いません。
むしろこんなインチキ国試に関わらなくてよかったとさえ思えます。

まとめ

柔道整復師に限らず医療系免許試験は年々難しくなって当たり前

個人的には柔道整復師の免許を取って柔整業界に進むこと自体をお勧めしませんが、どうしても柔道整復師免許を取りたいのに柔整国試が難化していることに不満があり、その現状を変えたいのであれば国試実施団体に直訴してみてはいかがでしょうか。
「お前らが作った試験問題が悪い。俺が国試に落ちた責任は全てお前らにある。誰でも合格出来るよう簡単にしろ。」と訴えて次の国試問題が都合よく変わればいいですね。

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