地震や台風等の大規模災害が起きればその救援で活躍し、海を隔てた先に独裁国家がある日本を昼夜防衛する自衛隊。その自衛隊から柔道整復師は医療従事者として扱われていない事実をお伝えします。
自衛隊の幅が広い自衛隊の人材構成
自衛隊員と聞いてすぐに思い浮かぶのは迷彩服や制服を着て災害や防衛に直接関わる職員(自衛官)ですが、その他に技官・医官等の職員も含まれ、様々な免許・資格を持つ医療従事者も自衛隊員として活躍しています。
自衛隊にはおおまかに常勤と常勤以外に分けられます。
常備自衛官 | 常勤の自衛隊員 |
予備自衛官 | ふだんは一般の仕事や学生をしつつ災害時・緊急時のみ召集される自衛隊員 |
以下、常備自衛官と予備自衛官に分けて自衛隊における柔道整復師の扱いを解説します。
常備自衛官における柔道整復師の扱い
自衛隊員の求人は防衛省・自衛隊公式サイトで公開されています。
このサイトでは主に常備自衛官(常勤職員)を募集していて多種多様な職種や技能の求人があります。
常備自衛官に求められる医療従事者
通信・整備・建設・情報処理等の様々な分野で必要な免許・資格が指定されています。
※自衛隊中央病院・自衛隊地区病院・駐屯地医務室等の求人も含む
求人のある技能資格(医療従事者)一覧
医師(医官)
歯科医師(歯科医官)
看護師・准看護師(看護官)
薬剤師(薬剤官)
理学療法士
作業療法士
臨床心理士
心理療法士
公認心理師
診療放射線技師
臨床検査技師
救急救命士
管理栄養士・栄養士
歯科技工士
柔道整復師は「医療従事者」の資格要件に含まれない
求人の無い技能資格(医療従事者)
柔道整復師
※その他 鍼灸師・按摩マッサージ指圧師等
柔道整復師は医療系国家資格ですが、国家組織である自衛隊の常勤職員としては医療従事者枠から除外されています。

予備自衛官における柔道整復師の扱い
予備自衛官になるには、あらかじめ必要な技術や知識を学ぶための予備自衛官補という制度があります。
自衛官未経験者を予備自衛官補として採用し、所要の教育訓練を経た後、予備自衛官として任用する制度です。
国民に広く自衛隊に接する機会を設け、防衛基盤の育成・拡大を図るとの視点に立って、将来にわたり、予備自衛官の勢力を安定的に確保し、更に情報通信技術(IT)革命や自衛隊の役割の多様化等を受け、民間の優れた専門技能を有効に活用し得るよう、予備自衛官制度へ公募制(予備自衛官補制度)を導入しました。
自衛隊 自衛官募集サイトより引用 https://www.mod.go.jp/gsdf/reserve/yobijiho/index.html
予備自衛官に求められる医療従事者
予備自衛官補の応募資格は一般と技能の2つの枠があります。
一般 | 18歳以上52歳未満 |
技能 | 18歳以上で、保有する技能に応じ53~55歳未満 |
ここでは技能枠について解説します。
技能枠については応募要件が定められています。
予備自衛官補の応募資格
(必要な資格・免許の条件)
https://www.mod.go.jp/gsdf/reserve/yobijiho/oubo.html
医療従事者・語学・システム防護(サイバー)・情報処理等の様々な分野で必要な免許・資格が指定されています。
採用予定の技能資格(医療従事者)一覧
医師
歯科医師
薬剤師
臨床心理士
理学療法士
作業療法士
診療放射線技師
臨床検査技師
看護師・准看護師
救急救命士
栄養士
准看護師
歯科技工士
柔道整復師は「医療従事者」の技能資格に含まれない
採用予定に含まれない技能資格(医療従事者)
柔道整復師
※その他 鍼灸師・摩マッサージ指圧師等
柔道整復師は医療系国家資格ですが、国家組織である自衛隊の予備自衛官としては医療従事者枠から除外されています。

常備自衛官・予備自衛官以外での柔道整復師の採用枠
柔道整復師が自衛隊員を目指すには
柔道整復師全員が自衛隊員の求人に応募出来ないわけではありません。
医療従事者以外の求人であれば応募出来ます。
または、柔道整復師以外の技能資格を持っていれば技能枠での応募も出来ます。
例えば、
・柔道整復師免許とは別に理学療法士や看護師等の医療系免許を持っている
・柔道整復師免許の他に語学・IT技術・通信・自動車整備等の免許・資格を持っている
という場合です。
いずれにしても柔道整復師免許は自衛隊員応募には全く意味がありません。
自衛隊における柔道整復師の直接雇用
柔道整復師は医療従事者扱いはされなくても、医療系資格を持つスポーツトレーナーとしてはごくわずかながら求人が出る場合があります。

以下、過去に求人があった事例です。
防衛省職員選考採用試験(理学療法士(柔道整復師又は鍼灸師資格保有者含む。))募集案内
自衛隊体育学校では、次により防衛省職員を募集します。
この試験は、防衛省職員として自衛隊体育学校の選手に対する疲労回復を目的とする手技等の業務に従事する係員を採用するために行います。応募資格
昭和38年4月2日以降に生まれた者で、「理学療法士」、「柔道整復師」又は「鍼灸師」の資格を有し、実務経験5年以上の者採用後の処遇等
自衛隊体育学校(採用情報)より引用 https://www.mod.go.jp/gsdf/phy_s/downloaditem/bosyu01.pdf
(1)身分 特別職国家公務員 防衛技官
柔道整復師限定ではなく勤務地も限られ求人もごく少数とはいえ、ろくな就職先が無い柔道整復師にとって貴重な国家公務員枠でしょう。
この他にも直接雇用ではありませんが、民間委託として柔道整復師が自衛隊体育学校へトレーナーとして派遣される仕事もあり、医療とは直接関係ない業務としてであれば自衛隊からその価値が認められているようです。
まとめ
医療従事者としての柔道整復師は自衛隊では需要無し
スポーツトレーナーとしてなら自衛隊体育学校でごくわずかな求人有り
自衛隊員は入職時の基本給は低くても、福利厚生万全・各種手当充実・休暇制度充実・十分なボーナス有り・退職金有り・転職支援有りと柔整ブラック業界とは大違いです。
慢性的な定員割れで誰でも合格出来るような柔整養成学校の低レベル入試とは違い、自衛隊採用試験は難易度も倍率も高めではありますが、骨盤回数券の販売ノルマをこなすような業界で働き続けるよりも、日本国・日本国民のお役に立てるお仕事を得るため自衛隊への転職を目指す柔道整復師を応援します。
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